大学数学 目次
集合・位相
複素解析
常微分方程式
ベクトル解析
環論
体論
多様体
測度論
数列の極限 例 定義関数の別表現
問題(定義関数の別表現)
\begin{align}
\lim_{m \to \infty}\lim_{n \to \infty}\cos^{2n}(\pi m!x) =
\begin{cases}
1 & (x \in \mathbb{Q}) \\
0 & (x \notin \mathbb{O})
\end{cases}
\end{align}を示せ.
解答
解答
(1)のとき,\begin{align}x = \frac{q}{p}, (p \in \mathbb{N}, q \in \mathbb{Z}) \end{align}と表せる.
が十分大きいとき,\begin{align}m! = k \cdot p , (k \in \mathbb{N}) \end{align}とおけて,
\begin{align}\cos^{2n}(\pi m!x) = \cos^{2n}(\pi kq) = 1\end{align}よって,\begin{align}
\lim_{m \to \infty}\lim_{n \to \infty}\cos^{2n}(\pi m!x) &= \lim_{m \to \infty}\lim_{n \to \infty}1 \\
&= \lim_{m \to \infty}1 \\
&= 1
\end{align}
(2)のとき, \begin{align}\cos(\pi m!x) = \pm 1\end{align}と仮定すると, \begin{align}
\pi m!x &= k\pi , (k \in \mathbb{Z}) \\
x &=\frac{k}{m!} \in \mathbb{Q} \end{align}これは矛盾.ゆえに, \begin{align} -1 < \cos(\pi m!x) < 1 \\
0 \le \cos^{2n}(\pi m!x) < 1 \\
\therefore \lim_{m \to \infty}\lim_{n \to \infty}\cos^{2n}(\pi m!x) &= \lim_{m \to \infty}0 \\
&= 0
\end{align}
ポイント
つまり, を先にに飛ばす.
【読書】誰か、絵画を教えてくれ~ 山口つばさ『ブルーピリオド』
感想
山口氏の漫画を読んで、自分が芸術、特に絵画に関してコンプレックスを抱いていたことを思い出してしまった。誰もが一度は絵を描いたり鑑賞したりしたと思う。そのとき、以下のような疑問を抱いたことはなかろうか?
- なぜ見たそのままを描けないのだろうか?
- 人の目は物の本当の大きさ・形・色をとらえることができるのか?
- 色覚異常があるように、人によって認識する物の大きさ・形・色は異なるのでは?
- とすれば、人の批評は批評される側にとって価値があるのか?
- あるいは、どこまで自分に助言・感想を言ってくれる人を信じればいいのか?
- なぜ他人から評価される必要があるのか?
- 評価に正しさというものはあるのか?
- 絵を描くとき、いつになったら作品が完成したと判断すれば良いのか?
- 学問的に絵画はどこに向かっているのか?
- そもそもなぜ絵を描くのか?
よって、私は絵を描くのも鑑賞するのも億劫になる。
でも、この漫画がいくつかの答えを教えてくれたような気がした。この謎たちを解決したいと思わせてくれた。改めて絵画について考えるきっかけとなった。早く続編が読みたい!
誰か絵画について体系的・技術的・歴史的に学べる本があれば教えてくださいm(_)m
線形空間 例 写像全体の集合
例(写像全体の集合)
:集合. :体.
このとき, からへの写像全体の集合を, \begin{align}K^X := \{f: X \to K \} \end{align}とする.
に対して, その和を, \begin{align} h(x) = f(x) + g(x)\end{align}で定まる写像:で定義する.
, に対して, そのスカラー倍を, \begin{align} h(x) = a \cdot f(x) \end{align}で定まる写像:で定義する.
この加法とスカラー倍により, は線形空間になる.
解答
解答
(1)に対して, 写像の加法に関する定義と体の定義により,\begin{align}
\{(f + g) + h\}(x) & =(f+g)(x) + h(x) \\
& =\{f(x) + g(x)\} + h(x) \\
& =f(x) + \{g(x) + h(x)\} \\
& =f(x) + (g + h)(x) \\
& = \{ f + (g + h)\}(x)
\end{align}よって,
(2)零元だから,
で定まる定数写像:を考えると,.
に対して, 写像の加法に関する定義と体の定義により, \begin{align}
(f+\tilde{0})(x) & = f(x)+\tilde{0}(x) \\
& = f(x)+0 \\
& = f(x) \\
& = 0+f(x) \\
& = \tilde{0}(x) + f(x) \\
& = (\tilde{0}+f)(x)
\end{align}よって,
以下同様の議論でが線形空間の定義を満たすことを示せばよい.
ユークリッド空間 定義・命題 一覧②(点列コンパクト~コンパクト)
定義(点列コンパクト)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. .
が点列コンパクトであるとは, の任意の点列がに収束する部分列をもつときにいう.
定義(有界集合)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. .
が有界であるとは, 次が成立するときにいう:
s.t.
定義(部分集合の直径)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. .
の直径を,
diam
で定義する.
命題(有界の同値条件)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. .
TFAE;(1), (2), (3);
(1)が有界である.
(2)が存在して, を満たす.
(3)の直径が有限の値をもつ.
命題(点列コンパクトの同値条件)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. .
TFAE;(1),(2);
(1)が点列コンパクトである.
(2)が有界閉集合である.
定義(被覆, 部分被覆, 開被覆)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. .
:$\mathbb{R}^n$の部分集合族.
がの被覆であるとは, \begin{align}A \subset \bigcup C := \bigcup_{ \lambda \in \Lambda }U_{\lambda} \end{align}が成立するときにいう.
がの部分被覆であるとは, もまたの被覆であるときにいう.
がの開被覆であるとは, がの被覆で, のすべての元がの開集合であるときにいう.
定義(コンパクト)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. .
がコンパクトであるとは, の任意の開被覆が有限個の元からなる部分被覆をもつときにいう.
命題(ハイネ・ボレルの被覆定理)
$(\mathbb{R}, d)$:1次元ユークリッド空間.
任意の閉区間はコンパクトである.
ユークリッド空間 定義・命題 一覧①(開集合~連続写像)
定義($\epsilon$-近傍、$\mathbb{R}^n$の開集合)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間.
点$a \in \mathbb{R}^n$と$\epsilon > 0$に対して,
\begin{eqnarray*}
N(a, \epsilon) := \{ x \in \mathbb{R}^n | d(x, a) < \epsilon \}
\end{eqnarray*}を, 点$a$の$\epsilon$-近傍という.
$U \subset \mathbb{R}^n$が$\mathbb{R}^n$の開集合であるとは,
$^\forall x \in U$に対し$^\exists\epsilon > 0$が存在して, $N(x, \epsilon) \subset U$が成立すること.
命題($\mathbb{R}^n$の開集合全体の性質)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. :の開集合全体の集合.
このとき, (1), (2), (3)が成立する.
(1)
(2)
(3)
定義(閉集合)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. .
が閉集合であるとは, が$\mathbb{R}^n$の開集合であるときにいう.
定義(内点, 外点, 境界点)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. . .
このとき, (1), (2), (3)を定義する.
(1)点がの内点であるとは, が成立するときにいう.
(2)点がの外点であるとは, が成立するときにいう.
(3)点がの境界点であるとは, が成立するときにいう.
定義(内部, 外部, 境界)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. .
このとき, (1), (2), (3)を定義する.
(1)の内部(または開核)とは, の内点全体の集合である.
(2)の外部とは, の外点全体の集合である.
(3)の境界とは, の境界点全体の集合である.
命題(開集合の同値条件)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. . :の内部.
TFAE;(1),(2);
(1)がの開集合である.
(2).
命題(内部の性質)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. .
このとき, (1), (2), (3), (4)が成立する.
(1).
(2)
(3).
(4).
定義(触点, 集積点, 孤立点)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. . .
このとき, (1), (2), (3)を定義する.
(1)点がの触点であるとは, が成立するときにいう.
(2)点がの集積点であるとは, が成立するときにいう.
(3)点がの境界点であるとは, が成立するときにいう.
定義(閉包, 導集合)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. .
このとき, (1), (2)を定義する.
(1)の閉包とは, の触点全体の集合である.
(2)の導集合とは, の集積点全体の集合である.
命題(閉集合の同値条件)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. . :の閉包.
TFAE;(1),(2);
(1)がの閉集合である.
(2).
命題(内部の性質)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. .
このとき, (1), (2), (3), (4)が成立する.
(1).
(2)
(3).
(4).
定義($\mathbb{R}^n$の連続写像)
$(\mathbb{R}^n, d)$:n次元ユークリッド空間. .
::写像.
が点 で連続であるとは,
が成立するときにいう.
また, が任意の点 で連続であるとき, は上の連続写像であるという.
【読書】研究者とは、どんな生き物なのか?
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感想
主人公の橋場は大学4年の研究室配属で研究者の喜嶋先生に出会う。喜嶋先生を通して見る研究者の世界、あるいは、研究の世界を描いた小説である。
将来、自分も研究室に配属されることになるので、その参考にということで読んだ。小説だが、著者の森博嗣氏は、名古屋大学で約20年間研究に従事していたことから内容に説得力を感じた。*1小説というよりむしろ自伝かなと思った。
私にはなりたい職業の一つとして研究者がある。研究者の仕事内容、特に大学に勤める研究者のそれについては、春・秋学期に大学生相手に講義をして、残った時間はのんびり好きな研究をするというイメージだった。正直最高の職業(の一つ)だなと思っていた。どうやら研究についても、研究者の仕事についても考えが甘かったようだw
氏の本を読んで、研究について改めて考えてみるととても恐ろしく感じた。研究とは、人類史上初の発見あるいは開発のことだ。従って、何が既知で何が未知なのかわかるために、ある分野の膨大な知識体系を身につける必要がある。つまり、勉強だ。これはまだ良い方かもしれない。やればやるほど成長する。しかし、研究は違う。やれば達成できる確証はどこにもない。何年も研究して結局なにもわからなかった場合もあるだろうし、それさえも明らかにならない場合もあるだろう。「この仮説であっているのか?」、「この研究手法は正しいのか」、常に疑念や不安が付きまとう。さらには、ライバルの研究者に先を越される恐怖もあるだろう。出口が開いてるのかさえわからない真っ暗なトンネルをひたすら走り続けなければならない。(まるで、ハンター試験だなww)
仕事に関しても、実は研究だけでなく様々な業務をこなしているようだ。入試問題の作成、営業、講演など。そして、会議、会議、会議の連続。(Twwiter上でも研究者の人たちがつぶやいてる)これらの雑務で、研究する時間がますます圧迫されるのだろう。さらにその上、任期内に成果をあげなければいけないとしら...
話は暗くなってしまったが、この本は本当におもしろいし、ためになったし、改めて研究者ってすごいなと思わせてくれた。最後に、いくつか文章を引用する。
*1:参考資料浮遊工作室(about森)