定義・命題 一覧(線形空間~部分空間)
- 定義(線形空間)
- 定義(部分空間)
- 命題(共通部分・和による部分空間の構成)
- 定義(線形結合, 線形独立, 線形従属)
- 定義・命題(生成される部分空間)
- 定義(生成系)
- 定義(基底)
- 定義(有限次元, 無限次元)
定義(線形空間)
:体. :集合.
が線形空間であるとは, に加法と, の元によるスカラー倍が定義されていて,
次の条件(1)~(8)が満たされるときにいう.
(1)に対し, が成立する.
(2)で, に対し, を満たすものが唯一つ存在する.
(3)に対し, を満たすが唯一つ存在する.
(4)に対し, が成立する.
(5)とに対し, が成立する.
(6)とに対し, が成立する.
(7)とに対し, が成立する.
(8)に対し, が成立する.
注意
- 線形空間の元を, ベクトルという.
- 線形空間のことを, 上の線形空間, ベクトル空間ともいう.
- のとき, 線形空間のことを,実線形空間 という.
- のとき, 線形空間のことを, 複素線形空間という
- スカラー倍の記号はしばしば省略され, をと書くことが多い.
- 体の定義はこちら 定義・命題 一覧 体
定義(部分空間)
:線形空間. .
がの部分空間であるとは, 次の条件(1),(2)を満たすときにいう.
(1)に対し,
(2)とに対し,
命題(共通部分・和による部分空間の構成)
:線形空間. :の部分空間.
(1)和\begin{align}W_1 + \dots + W_n =\{x_1 + \dots + x_n | x_i \in W_i , (i=1, \dots ,n)\}\end{align}はの部分空間である.
(2)共通部分\begin{align}W_1 \cap \dots \cap W_n =\{x | ^{\forall}iに対し, x \in W_i\}\end{align}はの部分空間である.
定義(線形結合, 線形独立, 線形従属)
:線形空間.
に対し, \begin{align}c_1x_1 + \dots + c_nx_n , (c_1, \dots , c_n \in K)\end{align}の形のベクトルを, の線形結合という.
また, \begin{align}c_1x_1 + \dots + c_nx_n=0 , (c_1, \dots , c_n \in K)\end{align}を満たすものが, のみのとき, は線形独立 という.
さらに, が線形独立でないとき, 線形従属であるという.
定義・命題(生成される部分空間)
:線形空間. .
このとき, ベクトルの線形結合全体のなす集合 \begin{align}\verb|<|x_1, \dots , x_n\verb|>|=\{c_1x_1 + \dots + c_nx_n | (c_1, \dots , c_n \in K)\}\end{align}はの部分空間であり, から生成される部分空間という.
定義(生成系)
:線形空間. .
であるとき, はの生成系であるという.
定義(基底)
:線形空間.
が次の条件(1),(2)を満たすとき, の基底であるという.
(1)は線形独立である.
(2)である.
定義(有限次元, 無限次元)
線形空間が有限個のベクトルからなる基底をもつとき, 有限次元であるといい, 有限次元でないとき, 無限次元であるという.